鈍色、のちに天色
ねえ、そんな優しいこと言わないでよ。
そんなこと言われたらあたし。
「……実はね、」
全部話したくなっちゃうじゃん。
でも彼は、優しい顔で聞いてくれた。
「……あたしには2個下の妹、南那がいるんだけど、あたしが事故に遭ったあの日から、親はあたしばかりに構うの」
過保護になった、というか。
あたしが傷つくことに、敏感になった。
「別に無視されてるとか、いじめられてるとかじゃないけど……でもたぶん、寂しがってるんだと思う」
あの冷たい瞳の奥は、悲しみで満ちているんだ。
南那を傷つけていることに気づいていながら、あたしは今まで何もできなかった。
でも三上くんがあたしの心を楽にしてくれたように、少しでもいいからあたしも南那を楽にしたい。