鈍色、のちに天色




「昨日話していた、転校生を今から紹介します。ちゃんと聞いててねー。じゃあ、入ってきて」




先に教室に入ったあっちゃん先生の声が聞こえて、あたしは教室に踏み入れた。



興味津々、というような強い視線を感じる。


教壇まで行ってみんなのほうを見ると、やっぱりあたしのことをガン見していた。



それを見て少しひるんでしまったけど、自己紹介をした。


「……上野 楓南です。よろしくお願いします」




パラパラと鳴る拍手の音。


それと同時に。




「車椅子の子?」


「ケガとか? 生まれつき?」


「歩くこともできないのかな?」



コソコソと話す声が聞こえて、少し眉をひそめる。



愚痴というわけではない。


ただ興味本位で、そんなことを言っているようだ。


……仕方がないことだ。



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