鈍色、のちに天色
自力で車椅子に乗り、病室を出ていくとき、「ふふ、青春ねぇ」なんて声が聞こえた。
なによなによ!
そんなんじゃないってば!
ただあたしは、感謝したくて……そう、感謝したいだけなのに。
それなのに、こんなにも胸が高鳴っている。
あたしは廊下を駆け抜けて、エレベーターのボタンをこれでもかっていうくらい押して。
全力で彼を追い求めた。
どこにいるんだろう?
もう病院を出ていっちゃった?
1階につき、キョロキョロと見渡していると。
────見つけた、彼の姿を。
三上くんは待合室のイスに腰掛けている。
なんで、まだそこにいるの……?
あたしはゆっくりとタイヤを回して、三上くんに近づいていった。