鈍色、のちに天色
三上くんはあたしに気づくと、立ち上がって駆け寄ってきた。
「上野っ! もう大丈夫なのか?」
なんでだろう?
今、三上くんに対して、ただただ愛しさが溢れてくるの。
「……っ。ばか!」
「へっ?」
「なんでそんな、お人好しなの? なんで今回も、助けてくれたの? 本当バカだよ、三上くんは……」
キョトン、とする三上くんの腕を軽く殴る。
そしたら何か察したのか、三上くんは恥ずかしそうに笑った。
「さっき言ったこと、聞かれちったか」
「丸聞こえだよ、バカ!」
「ちょ、そんなバカって言うなよ!」
「だって、本当にバカじゃん!」
「ひでぇー!……でも。上野たちを助けられたなら、バカでもなんでもいーよ」
な、にそれ。
三上くんは本物のバカだ。
「あたしたち家族、三上くんに救われたよ。……ありがと」
そう言うと、三上くんは嬉しそうに微笑んでくれた。