鈍色、のちに天色
「また明日なっ」
「うん、じゃあね」
いつも通り茜色の空の下で、陽希と別れる。
陽希の後ろ姿を見送ってから、家に入ると。
「あぁ、またか」
紗彩の靴が玄関にあった。
最近、よくうちに来る気がする。
特に何かをするってわけじゃなくて、ダラダラと話をするだけ。
あたしの部屋に入ると、談笑してる紗彩と南那がいた。
「おっ、噂をすればだな~」
「ねぇ~」
なによ、2人してニヤニヤして。
噂をすればって、あたしの話をしてたってこと?
「なに? なんの話?」
「おねーちゃんは陽希くんと、どうなってるのかなぁーって、ねっ?」
「そうそう!」
「どうって……別に何もないけど」
「またまた~」
「恥ずかしがんなよっ」
いや、恥ずかしがってるわけじゃないけどね?
2人が期待するようなことは、ないよ?