鈍色、のちに天色
『いやっ、あの、ヤだったらいいんだけどなっ!? 別に、めっちゃ行きたいってわけでもねぇし……あ、楓南と行きたくないってわけじゃなくて、』
あははっ、すごい焦ってる。
こういうとこ、可愛いんだよね。
少し迷ったあたしだったけど、いつの間にか頷いていた。
「いいよ。あたしも、行きたい」
『え、まじで!?』
「うん、まじで」
『っ……よっしゃ。じゃ、じゃあ詳しいことはあとで伝えるな!』
「わかった。じゃあね」
切れた電話。
いつの間にか緩んでいた顔は、2人に見られてしまった。
でもさっきのニヤニヤ、という笑いじゃなくて、微笑んでいるように見える。
まるで昔の、あたしと朋也を見るような顔。
……なん、で。
そんな顔するの?
……理由はわかっている。
あたしが、昔みたいに楽しそうにしているから。
でも昔と同じ、見守るような目で見ないで。