鈍色、のちに天色
「前も聞いたけどさ、楓南は陽希ってやつのこと、好きなのか?」
真剣な顔。
からかっている顔とは違った。
紗彩の言葉に、あたしは考え込む。
陽希には何度も助けられて感謝してるし、好きだけど。
それは恋愛の”好き”なのかわからない。
もし、恋愛の”好き”という感情を陽希に持っていたら。
それって、朋也を裏切ることになるのかな?
忘れることになるのかな?
……そんなのは、嫌だ。
何かを察したのか紗彩は。
「……ごめん、やっぱなんでもない。言わなくていいよ」
紗彩なりの気遣い。
あたしが困ってるのを察してくれたんだよね?
「とりあえずさ、水族館に行くんだろ? 楽しんでこいよ」
「おねーちゃん、お土産話たくさん聞かせてね!」
「……うんっ」