アオイロノヒマワリ ―咲―


「この中には未来のものが入っています」





一応、前置きを言ってから畳の上に中身を出していく。





「これは財布と言って、お金を入れるものです。多分、この時代にもありますよね」





財布もいつもは長財布だけど、着物に合わせた巾着に入れているやつだからあまり大きくはない。





「そして、これが私がいた時代のお金です」





財布を開けて、お金を出して見せた。





「こんな紙切れが金なのか?」





これまで一言も話さなかった男の人が畳の上の諭吉を手に取る。





よりにもよって英世でもなく、一葉でもなく、諭吉を皆で回し見ている。






< 46 / 343 >

この作品をシェア

pagetop