旅人と老人
*肌の黒い旅人
ある日、また扉がトントンと鳴りました。
老人が扉を開けると、立っていたのは肌の黒い男でした。
老人は長く生きていたし、本も沢山読んだので、肌の黒い人間が居ることは知っていました。
なので驚くことはなく家に招き入れました。
「どこから来たのですか」
「ここからずっと南の、海の見える国です」
ニコリと笑った旅人の歯は、肌と対照的に真っ白です。