旅人と老人
*小さな旅人
冷たい風がヒュルヒュルと鳴いています。
老人は薬草をすり潰し、薬を作っていました。
ヒュルヒュルという風の音に混じり、コンコンと扉を叩く音がします。
老人は一旦手を休め、その扉を開けました。
そこにいたのは、背の低い老人と同じ高さに目線のある、小さな男でした。
男というよりまだ少年です。
丸い頬を赤く染め、まっすぐに老人を見ています。