旅人と老人
「君の幼い手を借りるほど、困っていることはありません。お代は要りませんよ」
老人は優しくそう告げましたが、少年は納得いかないようです。
そして思い立ったように、パッと顔を上げました。
「では、あなたの食事をつくります」
それは思いもよらぬ申し出でした。
最初から、この小さな旅人から薬代を取ろうなどと思っていませんでした。
ですが目を輝かせる少年に、老人は頷くしかありませんでした。
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