旅人と老人
そんな二人の幸せな生活が終わりを告げたのは、ある雪の降る日のことでした。
生まれつき身体の弱かった妻は、風邪をこじらせてそのまま肺炎を起こしました。
老人への感謝と愛の言葉を残し、眠るように亡くなりました。
老人はとても悲しくて。
悲しくて寂しくて。
老人は毎晩妻を想って泣きました。
しかし月日が経つにつれ涙は止まり、静かな一人暮らしが始まりました。
薬を作って、畑の手入れと読書をするばかりの毎日です。