旅人と老人

今でもよく思い出すのです。

温かい両親のこと。
懐かしい故郷のこと。
旅の中で出会った笑顔。
そして、愛した人。


老人はホロホロと涙を零しました。

しわしわの手の平で拭うと、涙は腕まで伝います。


話を聞いていた少年も、その赤い頬を濡らしていました。

少年は老人の手をとり、そっと呟きます。


「寂しかったんですね」
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