旅人と老人
老人はうんうんと小さく頷き、掠れた声で泣きました。
「寂しい、寂しい」
老人は訪れる人を、今までただの一度も拒みませんでした。
優しく受け入れ、温かい食事を与えました。
いつも旅人の話を聞くのは、人の温かさに触れたかったから。
老人は搾り出すように声を出し、その小さな旅人に問います。
「君は、なぜ旅をしている」
少年の目からは、また新たな涙が溢れました。
「寂しかったからです。居場所が欲しかったんです……」