旅人と老人

月日を重ねるにつれ、老人の身体は衰えてゆきました。

老人は温かい布団の中で横になります。

そのそばには青年とその妻が寄り添います。

妻の腕の中には小さな命がありました。

まだ光にも慣れないその子を見れば、老人の顔は自然と笑顔になります。


手を握る青年に、老人は言いました。


「誰かの喜びは、君にとっての幸せとなる。いつもそれを忘れずに居なさい」


青年はコクリと頷きます。
そしてその言葉を心にしっかりと刻みました。

老人は柔らかな微笑みを携えて、ふわりと目を閉じました。
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