【完】恋愛モノポリスト
「リョータ、ちょっと話があるんだ…」
「……分かった」
アンディは親父の仕事のパートナーと言っても、まだ二十歳になったばかりだということで、俺ともすぐに打ち解けた。
そんなアンディに連れられて、俺は病院の広いロビーへと入る。
そこには、幾つかの自販機があって、アンディが温かいコーヒーを買って持って来てくれて、俺にソファーへ座るように促す。
「リョータ。…沢木…キミの父さんのことなんだけど…」
「うん。………麻痺、あるんだろ?」
「……知ってたの…?」
「さっき、手握った時、全然力入ってなかったから…」
ただ、母さんには言えなかった。
あの中で、これ以上の親父の悪状況を告げる勇気が俺にはなかった。
温かいのに、全然力の入っていない親父の手。
親父も分かっているんだろう…俺の顔を見て、切なそうな顔を一瞬だけ見せた。