【完】恋愛モノポリスト
「ごめんな、親父。親不孝で…」
そう眠ったままの親父に呟いて、左手を握り締めた。
利き手じゃなかったから、幸いだったけれど。
もしかしたら、手の他にも体に支障が出ているかもしれない。
そうすれば、俺は親父と一緒にこの土地で暮らすと決断をするしかない。
それくらいしか、手立てがない。
なな、俺は…一体どうしたらいいんだろう?
逢いたい気持ちは増すばかり。
だけど、現状がそれを許すことなく阻んでいく。
こんなにも想いは溢れてゆくのに。
それをキミへと繋げる術が、ないんだ。
「なな…」
ブラインドの向こう側の窓の外には何時の間にか、雪が降っていた。
思い浮かべるのは、寒がりでいつも俺のポケットの中のカイロを自分の物のように奪って得意げに笑ったななの顔。
それなのに、降り積もる雪に瞳を輝かせて、小さな雪だるまを作って喜んでいる、姿。