【完】恋愛モノポリスト
どれも、ななを連想させるものばかりで…。
「…っ」
また、泣き出しそうになった。
「お願いだよ…神様…。ななに、逢わせて…」
こんな悲しい想いをあとどれくらい乗り切れば、俺はキミを捕まえに行けるんだろうか。
届かない言葉。
手に入らない温もり。
物理的にもう縮まらない距離。
その夜、俺は果てしない想いを抱いて、朝日が昇っても窓の外に視線を向けていた。
…やっぱり、決断を下さないといけないんだろうな…。
ロビーに行って、コーヒーを買って飲むと、色んな想いが解かれていく。
少しだけ冷静になった俺は、親父がもう一度意識を戻したら、自分の気持ちを伝えようと思った。
俺だって、男の端くれだ。
ちゃんと、決めなきゃならないことはしっかりと決めたい。
それで、叶うはずだった決意が途切れたとしても、今は仕方がないと…そう、言い聞かせる。