【完】恋愛モノポリスト
自分でも気付いてなかった。
そう言えば、親父が倒れたと聞く前…ななの体を強引に引き寄せたあの日から、胸が痛くて押さえたままの手。
そんな俺を見て、アンディは諭すようにこう言った。
「未練があるような生き方じゃ、だめだよ。沢木の事はもちろん真剣に考えて欲しいけど。ボクはキミの将来を犠牲にはして欲しくない」
「…う、ん…」
そう言いながらも、ぎゅうっと掴んだまま放せないシャツの胸元。
今のこんな俺をななには見せられないと思う。
だけど、…逢いたいんだ…。
何もかも捨てるくらいの勢いで。
そんな事、出来ないのは十分承知してるけど。