【完】恋愛モノポリスト
飛行機の中は、思い思いの格好で寛いでいる人でいっぱいだった。
こんな大きいんだか、ちっぽけなんだか分からないモヤモヤを抱いて、この鉄の塊に乗り込んでいるヤツなんかいないんだろうな。
そう思ったら、なんだか可笑しくなって、俺は雑誌で顔を覆って笑い顔を作った。
今にも泣きそうな、ぐちゃぐちゃな顔を隠しながら。
それから、日本に着くまでの間、俺は時差で辛くなる事もお構いなしにずっと窓の外を眺めてた。
そして、日本に着いた頃には、深夜をとっくに回っていて。
俺は重い体を引き摺るようにタクシーに乗り込んで、ほんの少しの仮眠を取る事にする。
車の揺れが心地良くて、すぐに眠りに付く事が出来た。
キキッ
控え目なブレーキ音と共に、
「お客さん、着きましたよ」
と、運転手の声。
「あぁ…ありがとうございます。じゃあ、これで…」
「ご利用ありがとうございました」
バタン、とまた控え目な音を立てて、ドアが閉まりそのままタクシーは去って行く。