【完】恋愛モノポリスト

「はぁ…やっぱ、眠れそうにないわ…」


俺はそう一人呟くとコーヒーメーカーの電源を入れて温かいコーヒーを淹れた。


俺がいきなり現れたら、ななは一体どうするだろうか?
驚いてくれる?
喜んでくれる?
怒ってくれる?
それとも…なかった事にされる?


まだ迷いと未練が残る俺の心。
早く大人になりたい。
自分の心を自由にコントロール出来るような、そんな大人になりたい。


「はぁ…」


日本に戻るまでの何千回目かという溜息を吐いて、俺は自分の部屋へと戻った。
そうこうしている内に、空は白々しく明けていく。


『りょーた、りょーた、て、つなご?』

『うん、なな、だいすきだよ』

『わたしもだいすき、だいすきだよ…』

『なな?どこいくの?』

『なな?』

『りょーたなんか大嫌い!』




ガバッ!


ハッと気付いた時には、30分くらい経っていたようで、俺は夢を見ていたのかと思ってなんとなく安堵した。

でも…。


「夢ん中でも嫌い、は…かなり辛いな…」


顔を片手で押さえ込んで、腕時計に瞳をやった。
そこにはデジタルの文字で「am5:04」と表示されている。

んーっと背伸びをして、ななの部屋の方を見ようと思い立ちベッドから離れるとカーテンを開いた。
そして、俺は目に飛び込んできた光景に愕然とした。

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