【完】恋愛モノポリスト
どれくらい、そうしていただろう。
気付けば、私はりょーたの腕の中で眠りに就いていたようで、時計を見たらもう登校時間をとうの昔に越していた。
まだ、起きる気配のないりょーた。
その顔には疲れのせいか薄っすらと隈が出来ている。
りょーたを起こさないように、散らばった服をかき集めて、一つ溜息を吐いた。
これで…もう…。
「…なな…後悔、してる…?」
そう言って、ぎゅうっと後ろから抱き締められて、胸が軋む。
「後悔なんか、してないっ…」
ただ、…ただ、これからの事を考えると不安で仕方なくて。
行く末の見えない将来が、こんなにも辛いだなんて、…今まで知ろうともしなかったから。
「なな…泣かないで…?」
「泣いてなんか、ないっ…」
その言葉に反して零れ落ちる涙。
りょーたは、そんな私の事をくるりと自分の方に向けると、ちゅ、とキスを落として宥めてくれる。
だけど…。
胸の痛みは変わる事がない。
当然だ。
これで、完全にりょーたは私の元を離れてしまうのだから…。