【完】恋愛モノポリスト
「ごめん、なな。痛かった?」
「ううん。りょーたこそ、痛くなかった?」
「俺は大丈夫だよ?でも、ななに何かあったら、俺…」
「りょーた…」
「うわー。何この二人の世界!」
「…言うんじゃなかったわ」
そんな会話をしながら、俺達は学校の門を出た。
「んじゃあ、明日見送りすっから、逃げんなよー?」
「フライトの時間あるんだから逃げるもなにもないでしょーが。ばかなの?あんた?」
「ひっでー!」
わいわいがやがやと、親友と出来るのは今日までだった。
俺は、明日の朝の飛行機で日本を発つ。
それは、…それは、ななとの別れを告げることでもあり…。
「りょーた?」
「…え?…あ。なんでもないよ。行こっか」
「…うん」
二人の帰り道。
何度も通ったこの道。
見知った景色。
感じる空気。
二人の間には静寂が流れていた。