【完】恋愛モノポリスト
「お母さん、残念がってたけど、事情話したらオッケーしてくれたよ。はい…最後の日本食にはコレでしょうって…」
そのななが持って来てくれたプレートの上には、俺と親父の好きなカレイの煮付けとかぼちゃの煮物がついたご馳走だった。
それのラップを取って、テーブルに並べてくれるななをじっと見つめて、俺はななの名前を呼んだ。
しっかりと…少し、強めに。
「なな?」
「え?」
振り返るななを思い切り抱きしめて…奪うように顎を持ち上げてからキスを落とす。
その呼吸をもこの手にしたくて、俺は、角度を何度も変えて夢中でななの口唇を貪っていく。
「ん…ちょ…。りょーた、食事…っ」
「うん。分かってる。だけど、先に…ななとキスしたい…」
「言う前から、してる、癖に…っ」
「ごめん…」
「もう、ずるい…あやまんないで…私も、してほし…っ」
零れていく涙を吸い取って。
テーブルについたななの手に指を絡ませながら、キスをし続けた。
そして、その夜、俺はもうダメだと泣いて懇願するまで、ななを放す事が出来なかった。