【完】恋愛モノポリスト
「じゃあ、行って来る」
次の日…。
俺は、誰もいない家の玄関を振り返って、そう呟いた。
そうすることで、全ての気持ちをリセット出来るような気がしたから。
「いたいた!凌太!こっちこっち!」
空港に着くと、五分程度で仁達と合流出来た。
仁は、俺と俺にしっかりと寄り添うななを交互に見やってから、俺の耳元で「良かったな」とぼそっと呟いた。
「もう、最後の最後までイチャイチャしちゃって。まぁいいけどね…なな?素直になれて良かったね?」
「…うん」
綾乃ちゃんも、その鋭い勘から俺達がどうなったのかを察したようで、そうななに微笑んでいた。
「じゃあ、また…」
「おう!達者でな!向こう行っても、偶にはメール寄越せよ?」
「分かったよ…じゃあ、綾乃ちゃん…ななのこと、よろしく」
「私、ななの保護者じゃないんだけど…まぁ、凌太くんのお願いだから、聞いてあげるよ。…気をつけてね?」
「うん…ありがとう……なな…あの…」
「私、ずっとずっと、待ってるから!りょーたの事大好きだから!」
ぎゅうっと瞳を閉じてそう叫ぶななに、周囲が一瞬静かになった気がした。
俺は、そんなななに愛しさが溢れ出して…。