【完】恋愛モノポリスト
「瑶?」
「凌太、一緒に学校行ってもいい?」
「え、あぁ、別にいいよ。…じゃあ、なな。また後でね」
「あ、りょーた…」
「ゴメンね?柴谷さん」
「……っ」
何か言いたげだったななをシャットアウトするかのように、瑶が俺を半ば強引に駅から学校へと方向転換させて、そのまま連れて行く。
俺は何か引っ掛かったけど、どうする事も出来なくて、口唇を噛んだ。
「…ねぇ?凌太?」
「なに?」
「凌太の好きな子って、あの子でしょ?」
突然の問い掛けにどう答えたらいいのか分からない。
「…え?」
「ふふ。わっかりやす!ずっと凌太の事見てたもん。だから、忘れちゃいなよって言ったの。あんな辛そうな凌太の顔、見てらんなかったから…」
「瑶…」
「今はまだ、あの子の事が好きなんだろうけど。だけど、これから絶対あたしのこと好きにさせてみせるよ。凌太の事幸せにしたいから」
ぎゅっと手を握られて戸惑う。
今まで、告白は自慢じゃないけど結構受けてた。
でも、俺はずっとななの事しか見てなかったから。
こういうのも、付き合うオプション…?
てか、やっぱりそうなる訳?
そんな事を思いながらも、俺は瑶の手を握り返す事が出来なかった。