【完】恋愛モノポリスト
あの時、あんな軽い気持ちを持たなければ、良かったと思う半面。
さっき口にした通り、付き合った事自体に後悔はなかった。
俺の中にぐるぐると巡る二つの言葉。
「ごめん」と「ありがとう」を…。
何回、何百回、何万回…伝えたとしても、瑶の傷は癒せないだろう。
そう思うのに…。
臆病な俺は、何も言えずに、ずっと胸の中で泣く瑶を見つめてた。
ひゅう
そんな俺達に吹き付ける風は、とても冷たくて…泣いてしまいたいくらい切なかった。
バカだな、俺。
もっと強かったら、良かったのに。
「今日一日は…まだ、あたしの…あたしだけの凌太でいて…?」
縋るような瑶の言葉に頷く事しか出来なかった。
それが、もっと傷付けてしまう事になるって分かっているのに、どうしても「NO」とは言えなかった。
ごめん、瑶。
ごめん、なな…。
繰り返される贖罪の言葉は、ただの責任逃れでしか、ない。
こんな俺を誰か…掬い上げて下さい。
この不安定な意識の中から…。