【完】恋愛モノポリスト

「けど…」

「けども、へったくれもないよ。何があったの?その辺をちゃんと説明してくれるまでは、今日は帰さないからね!」


キッとアーモンド型の大きな瞳に睨みつけられて、私は小さく「ひっ」と声を上げた。


__この分だと本気で帰してもらえない。


そう思った私は、覚悟を決めて、1から順を追って自分の気持ちを綾乃に伝えることにした。
それは、もう…真面目に、本気で。

なのに、私の話を全て聞き終えて綾乃は暫く黙ったあと、何かを考えるような表情をチラリと見せた。


「あ、綾乃?」

「はぁぁぁ。あんた、ほんっとにバカね」

「なっ?!」


人が大真面目に恥を忍んで話したというのに、バカとはなんだと非難する前に。

「バカはバカでしょ。薬飲んだって効きやしない」


と、もう一度深い溜息を吐かれてしまった。

< 53 / 153 >

この作品をシェア

pagetop