【完】恋愛モノポリスト
第5章「苛まれる愛」 Side:凌太
愛の欠片
『凌太がそれでも好きだよ。ずっと傍にいたいよ』
そう泣いた瑶に、俺は何も言えずに、肩に置いた手を解いた。
暫く、そのまま動かないで泣いていた瑶は、最後に小さく笑って、
『私なら、そんな顔させないのに…いいよ。もう。解放してあげる…』
そう言って俺の元を離れて行った。
『でも、忘れないで?凌太を好きな存在はここにいるって…』
その顔は酷く頼りなくて儚かった。
「バカみたいに、好き、なんだ。ななじゃないとダメなんだ…もう、遅いけど…」
こんな想いをするなら、もっともっと素直になればいいんじゃないかと思った。
『傷付いて、傷付けて、人は成長するんだ』
なんかの歌の文句にそんなのがあった気がする。
「今度は、ごめんの代わりに…」
気付いたんだ。
瑶と付き合ったからこそ、どれくらいななの事が大切なのかを。
俺の身勝手な想いで、傷付けたくないと思い込んで、封印してしまった気持ちを…もう抑えることは出来ないんだって事を。