【完】恋愛モノポリスト
パタパタと軽快なリズムで階段を上っていくおばさんを待つ間、所在無く瞳を伏せていると、ふわっと空気が変わってそっちの方を向いたら…。
なんとも言えない顔をしたななが、階段を下りてきて俺を見つめてた。
「…なに?」
「もう、なな?いい加減、素直になんなさい、凌太くん困ってるでしょう?」
「…りょーた。外行こ」
「あ、うん」
スッと横を擦り抜かれて、どうしようもなく泣きたくなる。
こんなに近くにいるのに、ずっと離れてしまってる、俺達…。
俺は、おばさんにぺこっと頭を下げてから、玄関を出た。
近くのコンビニへと続き道。
途中の小さな公園まで来ると、ななは徐に口を開いた。
「で、なに?」
「…先パイから、聞いた…」
「…そう。で、可哀想になって、慰めにでも来たの?それとも笑いに来たの?」
よく見ると、ななの瞳は真っ赤だった。
やっぱり…こんな風に泣かせたくはなかったのに…。