【完】恋愛モノポリスト
「…っ」
「好き、なんだ。どうしようもなく。今更かもだけど…それでも…ななが好きなんだよ…俺」
「ばか。ばかりょーた。そんなの信じらんない。なんで?なんで、そんな傷付いた顔すんのよ…ずるい…」
「ごめん…」
きゅっと噛み締めた口唇が、悲しいくらい愛しくて…俺はそのまま無理な体勢で、ななにキスをした。
途端に、固まるななの体。
今にも飛んできそうなビンタを細い手首を押さえる事で制して、もう一度「ごめん」と言ってキスを落とした。
がりっ
塞いだ口唇を噛まれて、そこから血が滲む。
「…っ」
「…大嫌い」
その言葉は、俺の胸の動きを止めるのに、最も威力があった。
一瞬の隙を突いて、ドンっと俺の胸を押して距離を置くななの顔には困惑と恐怖と嫌悪が交じり合っていた。
「ほんと、あんたって最低。こうやって無理やりすれば、なんでも許されると思ってんの?バカにしないでよ。あんたなんか。あんたなんかもう、知らない」
ぼろり、最後に零した涙は、俺の息の根を完全に止めた。
ななは、俺をキツく睨んでそこから後退りをする。
俺は咄嗟に手を伸ばす…けれど。