【完】恋愛モノポリスト
俺の家では、物心ついたときから、親父が大学の研究ってやつでほとんど国内にいなくて。
母子家庭みたいに生活してきたんだけど、それでも親父に対する尊敬の気持ちは絶大で、いつか俺も海外で仕事をしてみたいと思ってた。
親父からの電話は手紙にはいつも励まされていたし、家族想いの親父が俺は大好きだった。
そんな親父が、現地で大怪我をしたという。
既に母さんは現地へ向かってて、俺もすぐにでも親父の元へ行った方がいいと担任が言った。
なんで?
急に…。
そんな…。
そんな意味をなさない言葉の羅列。
俺はひきつる顔をなんとか押し殺して担任に尋ねた。
「…ってことは、危ないってこと、ですか?」
俺の問いに顧問が静かに頷く。
ぼと。
気付けば、カバンが足元に落ちていた。