【完】恋愛モノポリスト
そこで、初めて気がついた。
りょーたがいつも一番近くで私の事を守っていてくれた事に。
私の笑顔を誰よりも望んでいてくれた事に。
「…っりょーた…っ」
私はこのまま大切な幼馴染のりょーたを失ってしまうのかな…。
「そんなの、いやだよ…っ」
込み上げる涙を拭う事も出来ずに、私は自分の部屋の窓から、灯りの付かないりょーたの家を眺めた。
気付かない内に、きゅうっと掴んだカーテン。
固く結んだ口唇。
私はバカだ。
りょーたの事をずっとずっと遠ざけるような事をしていた癖に。
こんな風に自分の元から離れてしまうなんて考えられなくて、一人で拗ねて、悲しんで、傷付いて…。
本当は、私の何百倍もりょーたがそう感じているだろうに。
「りょーた…りょーた…っ」
今更名前を呼んでも届かない。
本当は誰よりも近くでこの手を引いていて欲しかった。
ずっとずっと私の知っているりょーたのままで傍にいて欲しかった。