【完】恋愛モノポリスト
結局、私は全く体調が戻らなくて、早退する事になった。
その帰り道、コートのポケットの中でバイブするスマホ。
スワイプすると、メールアプリに一件のメッセージ。
『なな、いい?本当に失くせないなら、ちゃんと自分から動くべきなんだよ?』
その一文に視界が揺れる。
もう、ずっと涙腺が崩壊してるみたいだ…。
私だって出来る事なら自分で動いて、りょーたをこの腕の中に引き寄せたい。
でも…。
「…柴谷さん?」
「…あ……」
ふらふらと歩いていたら、その視界の先に突然見知った姿が現れた。
「は、せがわ…先パイ…?」
その人は、ずっとりょーたの隣のいた人。
高校に入ってからのりょーたを私よりもずっと知っているだろう、人…。