【完】恋愛モノポリスト
「…え…?」
「そんな、不安そうな顔しないで。信じてあげなよ。凌太、本当に貴女の事が好きなんだから…」
「でも…」
「あぁ…あたし?フラれちゃった。『バカみたいにななが好きなんだ』ってね」
そう言って笑顔を作る先パイの横顔は、今にも泣き出しそうだった。
「先パイ…」
「あたしね、凌太が貴女に想いを寄せてるの知ってて付き合ってって言ったの。だって、好きな人の隣にいるって言うのに、凌太いつも悲しそうな顔してたから。
そんな顔、あたしならさせない!って断言して、無理やり付き合ってもらったんだけど…。凌太の心は1mmも動かなかった。柴谷さんへの想いを募らせるばっかりで、その心に触れる事も出来なかった」
ぽろり
先パイの瞳から雫が落ちた。
それを先パイが拭いながら、言葉を続ける。
「凌太が…凌太が日本にいないって知ったの、今日…なんだよね。凄いショックだった。でも。それ以上に、思ったの。『これで、柴谷さんも自分の気持ちに気付いたんだろうな』って。…ねぇ?もう、分かってるんだよね?気付いてるんだよね?…じゃなかったら、許さない…」
きゅっと口唇を噛んだ先パイの瞳は真っ赤に揺れていた。
私もつられて、涙を零して先パイの言葉にただ何度も頷く。