最初で最後の恋
何してんだよ、と仲間たちに言われ謝りながらサッカーボールをとりに藤真は走る。
「はい、先輩。」
そのボールを取って手渡してくれたのはサッカー部のマネージャーで2年生の蓬茨蘭(ホウラギラン)。
「サンキュー!」
ボールを受け取った藤真は、蘭の後ろに見える花壇に目を向ける。
そこにはボールで潰されてしまった色とりどりの花があった。
「花…。」
藤真がそう言うと、蘭もそれに気付いたのか花壇に目を移す。
「ああ、さっき私から園芸部に話しておいたので。気にしないでくださいって。だから練習戻りましょう。」
さすがマネージャー。
どこまでも気がきくな、と藤真は感心し、二人はグラウンドへと戻って行った。