副社長はウブな秘書を可愛がりたくてたまらない
「明日奈ってば! 聞いてるの? どうしてそんな急展開になってるのよ!」

 もう一秒も答えを待ち切れないと言った様子の彼女は、前のめりに私の顔を覗き込む。

 このままでは突っ込んできそうな勢いだな、と私は思わず苦い笑みを浮かべた。

「私も気付いたら一緒に住むことになってたの。なんか、人事部の担当者も副社長の知り合いだったみたいで……」

「上手く手回しをして、まんまと同棲したってわけ? 副社長あんな綺麗な顔して意外に強引なんだねー!」

 言い終えたあと改めて「キャー!」と黄色い声を上げた彼女は、生ビールのジョッキを一気に開けた。

 その男らしい飲みっぷりに感心していると、彼女は期待で輝かせた瞳をこちらに向ける。

 わかってはいたけれど、食事というよりは尋問になってしまいそうだ。

「ただ、期限付きなの。三ヶ月。その間に私が副社長を好きにならなかったら、元の生活に戻すって……」

「どうして三ヶ月なの?」

 きょとんと見つめられて、思わず私も目を瞬かせる。
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