副社長はウブな秘書を可愛がりたくてたまらない
「あら、久しぶりに会うのにご機嫌ななめなのね。私はずっとあなたの帰りを待ってたのに」
口元に手を当てて微笑みを浮かべる彼女は、シャープな二重の目元を愛らしく垂らす。
しかしその最後の一言に、私の胸が一際大きく跳ねた。
……副社長の、帰りを待っていた?
「悪いけど仕事があるんだ。それにこんな風に、勝手に会社に来るのはやめてくれ」
彼が淡々と言い放つと、彼女はソファーに置いていたショルダーバッグと着ている白いワンピースによく合うハットを手に取る。
「今日は帰るわね。また今度、雅治(まさはる)も一緒に食事でも行きましょう」
緊張した強い表情のままなにも言わない彼。
その肩をポン、と叩いた彼女は、私たちの横を通り過ぎてドアノブに手を掛けた。
慌ててお見送りをしようと彼女に代わりドアを開けると、ふとこちらに視線を流した彼と視線がぶつかる。
「じゃあね、千秋」
閉まるドアの隙間から彼の悩ましげに揺れる瞳を見て、私はそれが見えなくなるまで、視線を逸らすことが出来なかった。
口元に手を当てて微笑みを浮かべる彼女は、シャープな二重の目元を愛らしく垂らす。
しかしその最後の一言に、私の胸が一際大きく跳ねた。
……副社長の、帰りを待っていた?
「悪いけど仕事があるんだ。それにこんな風に、勝手に会社に来るのはやめてくれ」
彼が淡々と言い放つと、彼女はソファーに置いていたショルダーバッグと着ている白いワンピースによく合うハットを手に取る。
「今日は帰るわね。また今度、雅治(まさはる)も一緒に食事でも行きましょう」
緊張した強い表情のままなにも言わない彼。
その肩をポン、と叩いた彼女は、私たちの横を通り過ぎてドアノブに手を掛けた。
慌ててお見送りをしようと彼女に代わりドアを開けると、ふとこちらに視線を流した彼と視線がぶつかる。
「じゃあね、千秋」
閉まるドアの隙間から彼の悩ましげに揺れる瞳を見て、私はそれが見えなくなるまで、視線を逸らすことが出来なかった。