副社長はウブな秘書を可愛がりたくてたまらない

「男性と接するのが苦手なんです。も、もちろん仕事では男性とか関係なく大丈夫なんですけど、そうじゃなくなると、一体どう接すればいいのかわからなくなってしまって。いい大人なのに社交辞令の一つも流せなくて……すみませんでした」

　自分が情けない……。

　今にも震えそうな唇を噛み締めて、真っ直ぐに彼を見つめる。

　こうして助けてくれた彼には、迷惑だったなんて勘違いして欲しくないと思った。悪いのは私だと、伝えておきたかった。

「接し方、か。もちろん話や人との距離感を掴むのが上手いに越したことはないけれど、人対人は、それだけじゃない。男女なら特に。社交辞令を言ったり受け流せる人が偉いわけでもないよ。仕事中は男性でもちゃんと話せるなら、きっと君は大丈夫。年齢は関係ないし、まずは落ち着いて、ゆっくりと練習していけばいいさ」

　頭にポン、と乗る心地の良い重さに、胸が大きく跳ねた。

　硬直した私の顔を見て、彼は優しく顔を綻ばせる。