副社長はウブな秘書を可愛がりたくてたまらない
「あぁ、約束する。だけど、俺も本気だ。……君に、絶対俺を好きだと言わせてやる」

 淡く、甘い声で囁かれた瞬間、同時に頬に降ってきた温かな感触。

 そしてすぐそばでふわりと揺れる彼の髪が離れていくのを見つめていると、再び視線が絡み合った。

 こ、これって……。

 その正体に気付いた私は、思わず跳ねるように両手で頬を押さえた。

「手加減はしないよ、明日奈」

 歯を見せて、イタズラに笑う彼。

 文句の一つでも言いたいのに、驚きと羞恥心に支配された身体はぐしゃりとソファーに崩れ落ちた。

「あれが君の部屋。荷物は全部あそこにあるから、とりあえず着替えておいで。俺も着替えてくる」

 私の背後にあったドアを指差した彼はそう言い残すと、自身もリビングを挟んで反対側にあるドアの向こうに消えていく。

 ようやく一人になった私はその広すぎる部屋を一度見渡すと、はぁーっと大きな息をついた。

 両手で顔を覆い必死で状況を整理しようとするけれど、理解が追いつかない。

 ……もう、なにがなんだか。私、本当に三ヶ月もここで彼と暮らすの?

 全く想像出来ない生活を思い浮かべては、再び大きく息をついた。
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