副社長はウブな秘書を可愛がりたくてたまらない
第三話 私だけの魔法の言葉
「おはよう。よく眠れた?」
忍び足で廊下を歩いていると、背後から突然掛けられた声に驚いて思わず跳ね上がる。
全身に力が入りまるでロボットのような動きで恐る恐る振り返ると、そこには黒のパーカーにゆるめのデニムスウェットパンツ姿の副社長が立っていた。
「お、おはよう……ございます」
「うん、おはよう」
――時刻は、七時。まだ眠たそうに涙を浮かべながら目尻を擦っている彼は、朝が苦手なのだろうか?
昨日はあれから、『俺が作る』と副社長が作ってくれた夕食を二人で食べた。ものの十分ほどでベーコンのクリームパスタとオニオンスープを作った彼は、料理も出来るらしい。
そしてその腕前は見事で、私は緊張しながらも全部美味しくいただいてしまった。
お風呂に入っておいでと言われたときは心臓が口から飛び出るかと思ったけれど、お風呂から上がると彼はリビングでパソコンに向かい仕事をしているようだった。
やはり銀縁の眼鏡を掛けている顔を横目に見つめていると、私に気付いた彼は、『疲れただろ? おやすみ』と私の頭を撫でて自身も浴室へと向かう。
ほっと胸を撫で下ろしながらも、到底眠れるわけなどなくて。天井を見つめながらひたすら朝を待った私は、朝五時には用意を済ませていた。
忍び足で廊下を歩いていると、背後から突然掛けられた声に驚いて思わず跳ね上がる。
全身に力が入りまるでロボットのような動きで恐る恐る振り返ると、そこには黒のパーカーにゆるめのデニムスウェットパンツ姿の副社長が立っていた。
「お、おはよう……ございます」
「うん、おはよう」
――時刻は、七時。まだ眠たそうに涙を浮かべながら目尻を擦っている彼は、朝が苦手なのだろうか?
昨日はあれから、『俺が作る』と副社長が作ってくれた夕食を二人で食べた。ものの十分ほどでベーコンのクリームパスタとオニオンスープを作った彼は、料理も出来るらしい。
そしてその腕前は見事で、私は緊張しながらも全部美味しくいただいてしまった。
お風呂に入っておいでと言われたときは心臓が口から飛び出るかと思ったけれど、お風呂から上がると彼はリビングでパソコンに向かい仕事をしているようだった。
やはり銀縁の眼鏡を掛けている顔を横目に見つめていると、私に気付いた彼は、『疲れただろ? おやすみ』と私の頭を撫でて自身も浴室へと向かう。
ほっと胸を撫で下ろしながらも、到底眠れるわけなどなくて。天井を見つめながらひたすら朝を待った私は、朝五時には用意を済ませていた。