口づけを、もう一度。
 やってきたのはそこら辺にあるファストフ

ード店である。


私は、適当に注文した適当なハンバーガー

を、適当に頬張っていた。

「ところで、真由さん、僕のこと、覚えてな

いかな?」

 覚えてるも何も、会ったばかりだ。(楓は

ちょっと前には転校してきていたけど)

何か引っかかる。

「……。」

「やっぱり、覚えてないか……。」

「どこかで会ったっけかなあ?」

「真由さん、小さい頃は海辺の方の街に住ん

でいて、そこの公園によく行ってなかっ

た?」

 そうだ。よくそこで遊んでいた。

 私は、5歳位まで、ここから50kmくらい遠

方の桐矢市に居たんだ。

私は、市の中心部から少し離れたところに位

置しているアパートに住んでいて、そこの近

くの公園によく遊びに行ったものだ。

そこの公園は、すべり台とブランコ、そして

砂場だけの小さな公園だったけれど、それで

もその当時の私には

とても楽しい場所に思えたのである。
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