口づけを、もう一度。
 「ここが、よく見える場所なんだ。」

楓に案内されたのは、河川敷に降りる階段の

影になっているところ。

ここでは、他の人の気配は微塵も感じられな

かった。

「綺麗だね」

特大の花火が、大きな音とともに空へ打ち上

がり、

パラパラと散る。

「ありがとう、楓。」

「ここ、教えたの、真由が初めてなんだ。

 気に入ってくれて嬉しいな。」

花火がまた上がった。

楓の顔が花火の色を反射して緑っぽくなって

いる。

「真由、目を閉じて。」

私は、楓にキスをされた。

「もう一回、して?」

 それは、さっきの口づけよりも、長くて甘

かった。

 口づけを終えて、楓の顔を見つめる。

今までよりもずっと美しく見える。

 私は、楓を抱きしめた。

「ずっと、こうしていていいかな?」

楓は、優しく私に微笑みかける。
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