ストレイキャットの微笑
プロローグ
「サキさん入ります」
「はじめまして、サキです。お隣失礼します」
男性が自身の座るソファの隣を軽く叩いたのを確認してから、そっとその隣に腰かけた。
「サキちゃん、ね。よろしく」
やたらと甘い顔立ちをした男が私に微笑んだ、それが最初。ロマンチックだなんて言葉が到底似合わないこの場所で、私は私のこれからを大きく左右する男と出会った。
運命なんて薄い言葉を使うのは嫌いだけれど、もし人生に運命の分岐点とやらが存在するとするならば、私のそれはこの瞬間だったのだと思う。
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