天使と悪魔の子
駆け足で学校を出て、一つの曲がり角を曲がって足を休める。
『はぁ…。』
校門を覗くとそこには部活が終わって歩く生徒しかいなかった。
『いな、い。』
ゆっくりと胸をなでおろしてバイトへの道を行く。
もうすっかり冬の寒さだ。
マフラーを教室に忘れてしまったことを後悔する。
しかし、取りに戻るのも気が引ける。
ため息をついて腕時計を見ると、まだ4時半だった。
『……いや、取りに戻るのは辞めよう。
日も暮れてきたし。バイトもあるもん。』
体を擦りながらゆっくり歩いていると、ピカッと電灯がつく。
さっきの出来事のせいか、日が沈んで真っ暗になった道は少し気味が悪かった。
自然と早足でバイトに向かう。
ードンッ
『あ、す、すみません…』
「うおっ、て、逢沢ちゃんじゃん。
どうしたの?」
『光希(ミツキ)先輩!』
頼りになるバイト先の滝本光希先輩
ぶつかった相手が彼でよかったとまた胸をなで下ろす。
先輩には悪いけど、変な輩だったら面倒だもの…。
「これからバイトだよね?
一緒に行こうよ。」
『はい』
いつも通りのポーカーフェイスに戻して私は頷いた。
あの日、祖母が亡くなった日。
とっくに感情なんかなくしていると思っていたのに、あの日以来二年ぶりに怖いと感じた。
『不思議…』
「ん?」
『いえ、なんでもありません。』
しばらく歩くといつものコンビニ
中に入ると暖かくてほっと息をつく。
私は毎週4日間バイトを入れて、自分のアパートのお金を稼いでいる。
父が学費を払ってくれているが、大学は彼とは疎遠の場所に行きたい。
いつかのように、酷く願った。
早く
大人になりたい。