天使と悪魔の子
バイトを終え、私は近くの公園に理江ちゃんと一緒に来ていた。
夕紀くんには遅くなると一応連絡を入れてあるから暫くはふたりきりだ。
「どうかしましたか?」
『…理江ちゃんが一番わかってるんじゃない?』
「…わかりませんね。」
私は出そうになる溜息をどうにか押し込みブランコに腰掛けた。
『私ね、理江ちゃんに羨まれるような人じゃない。』
「…」
『確かに、知らない間に私はいろんなひとに支えられてた。そんなのいらないとさえ思ってた。でもそれは…私がだめだめだからで、一人で生きていけないから。』
人が恋をしてふたりで力を合わせていく。
それは必然で自分に足りない部分を誰かに補ってもらっているから。
「さっきから何言って…」
『理江ちゃんの本当の望みを教えて。』
貴女には何が足りていなくて
何を補ってほしいの?
「私の望みは世界一かっこいい王子様と結婚すること。」
『ちがう』
「はぁ!?何が違うのよ!私が望んでいることなのに、何であんたなんかに否定されなきゃならないのよっ。」
『じゃあどうして、そんなに苦しそうな顔をしているの。』
彼女は自分でもよくわからないのか歪めた表情を浮かべている。
『自分のことをわかってないのは、理江ちゃんだよ。』
「うるさいっ!!!あんたなんかになにがわかんのよっ。」
『わかるわけないじゃない!!』
他人の気持ちなんてわかるわけない。
でもこれだけはわかる。
貴女今、とても苦しそう。