天使と悪魔の子

『今度一緒に出掛けない?』

空が茜色に染まっている。

夜が近づいている。

「ぇ?」

『いや、かな』

初めてだった

自分から人を誘うのは

「私、先輩の気持ちも知らないであんなに酷いこと言ったんですよ?」

彼女の目は明らかに動揺していた。

こういう時彼ならどうしただろう。

そうだ

安心させるように微笑んで手を伸ばすんだ。

そしてこう語りかける。

「理江ちゃんが醜いわけじゃない。
そうさせているのはこの世界。
理江ちゃんが悪いわけじゃないんだよ。」

半ば考えを放棄した言葉だ。

でも私達にはこれが救いの言葉。

魔法の言葉なんだ。

理江ちゃんの瞳から大粒の涙が流れ落ちた。

それはとても純粋な涙だった。

「私、認められたくて……」

そう、認められたかった。

過去の私はもう何度もそれを願った。

叶わなかった願いを、叶えてあげる。

何故か頬に涙が伝った。
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