天使と悪魔の子
3節 “剣”
ここは どこ
目を開けると真っ白
横で眠っている宙に気が付いて頬を撫でた。
『っ!!』
私は身体を起こしてボロボロになった黒いワンピースを見る。
思い出した
私達、ミリーナさんに……。
「……うっ」
綺麗に整った顔が少し歪む。
美しい彫刻品のようなその顔に、思わずはっと息を飲んだ。
「美影……!!」
薄らと目を開いたと思うと、飛び起きて周りを見渡す。
「ラミアは!?」
『ううん、いないみたい。』
宙は信じられないのか立ち上がって周りを見渡した。
「ここは…」
私も立ち上がって周りを見渡す。
そしてあまりに美しい光景に声を失った。
ところどころ浮いている地面。
その下には大きな滝があり虹がかかっていた。
地面には草木が生い茂り花が咲き乱れ、そよ風に遊ばれている。
私達も空中に浮いてるひとつの地面のピースに乗っていた。
なによりも暖かい日差しが注いできて気持ちいい。
宙は私を抱えて広大な地面に足を下ろした。
「間違いないや…」
宙は空を見上げて目を細めた。
私も同じようにそうする。
目に飛び込んだのは大きな雲の上に乗った城、否、神殿だった。
「ここは“神界”」
『あの、神様のいる?』
「うん」
空を見てみると、魔界とは違って白い龍が空を飛んでいる。
それだけじゃない
見ることのできない美しい生き物、中には伝説の生き物達がそこには溢れていた。
ーバサッ
羽の音が聞こえてそちらを見ると、純白の翼の美しい女性がこちらを訝しげに見ている。
「お迎えにあがりました。」
女性は地面に膝をつき御礼をしてくる。
『お迎え……?』
「主がお待ちです。」
天使は私を振り返って下から上を見てから少し笑った。
「なるほど、貴女様は本物のようだ。」
私は抱きあげようとする宙を制して空を飛んでみせる。
『飛べるようになったの』
「そっか、そうだね」
宙は複雑な表情をしてから空を飛んだ。