天使と悪魔の子
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神水の入った瓶を持って神殿のてっぺんに腰掛ける。
ーポンッ
瓶の蓋を外して口にそれを注ぎ込む。
最近何故か神水だけで生活ができていた。
そのため今日のあの時作ったご飯は格別に美味しく感じられ、寂しく唇に触れる。
どこの世界も窮屈だ。
人間界は周りの目ばかりきにして、今では没個性化が進み、お金のために子供の孤独の時間が増えた。
魔界は……なんとなく、一番人間らしい世界だった。
変だけど、でも欲に忠実で私には一番眩しく見えた。
そしてここはとても息苦しい。
秩序に忠実で、誰もが神を尊敬している。
神に依存していると言ってもいい。
全ての世界に共通することはカースト制度がどこかしらにあること。
どうして生命は、優劣をつけたがるのだろうか。
どうして神は、世界を作ったの?
「アリシア、あんたの目は他とは違うな。」
いつの間にか隣には大きな鎌を持った彼女が座っている。
驚く暇もなく彼女は大きな目を更に見開き私の目の前まで顔を寄せた。
「瞳の奥深くで、何かが燃えている。」
緑の瞳はまるで獲物を狙う野生動物のよう。
彼女はエリーゼ、最強の戦士
『貴女は神界の誰よりも冷たい目をしているわ。』
「クスクスッ……だって楽しくないんだもんね。もし世界を壊そうとしたら皆は私に矛先を向けるのかな?そしたら楽しそうだよね。」
無邪気に笑って足をぶらぶらと揺らしている。
彼女が言うと冗談かわからない。
いや、きっと本気だ。
彼女は退屈なのだ。
『戦いが好きなのね。』
「そうだね!神様なんて僕は興味無いし、なにより敵意の含まれた瞳を見ると捻り潰したくなる。
ひいた?ひいたよね!!!だって僕可笑しいんだもんねーっ」
何が面白いのかずっと笑いながら私を見ていた。
狂っている
と言いたいところだが、彼女はただ正直なのかもしれない。
腹の見えない政治家や大人達
彼らは時より、残酷なことを平気で裏で進めている。
表向きには人々に愛想のいいように振る舞い
裏では考えもつかないような汚いことをする。
それを思うとエリーゼは残酷なんかじゃない。
“すべての世界が生み出してしまった被害者”