天使と悪魔の子
『エル』
名前を呼ぶと、彼はすぐそこに現れて私の隣に立った。
ここはゲートの外
もうすぐ戦いが始まる。
「アリシアー、好きに動いていい?僕もううずうずしてたまらないんだ。」
『うん、もしも苦しくなったらアスタロッサの隊と合同で動いてね。』
エリーゼは大鎌を抱きしめてそのままぷかぷか浮いている。
「いつからエリーゼと手を組んだの?」
宙は相当驚いたのかじっと彼女を見ている。
『昨日の夜からかな』
「やっぱり君はすごいな……これなら、安心だ。」
『なんて?』
最後の方が聞き取れなくて聞き返すが、フレンチさんの声にかき消された。
「翠の戦士よ、よくきけ、これは歴史に残る大きな戦いとなるだろう。不安だろうが我らに神がついている限り、負けはない。我らは今日の為に血汗を流し身を粉にしてきた。いまこそ、その力を示すときだ!!!!」
彼女が剣を天高く掲げた時、多くの翠の戦士が叫んだ。
すごい……
これだけ、命を預けられる人はいないだろう。
「エリーはあの人苦手だ。じゃあ僕はもどるよ。副官が五月蝿いんだ。」
鼻歌を歌いながら彼女は自分の隊にもどっていく。
緋の戦士を見る日が昨日の今日となるとはね……。
「アリシア、来たよ。」
エルが肩が触れるほどの距離に立って獣化した。
青空が奴らの翼と瞳で赤黒く染まっていく。
いよいよか
ーバサッ バサッ
互いに動きを止めてアスタロッサとラミアが睨み合った。
「初めまして、俺はこの軍の指導者のひとりラミア・ロゼオです。以後お見知り置きを……といっても、もう君達死ぬけど。」
おなじみの白い騎士服を着て腰を折る姿は誰もが惚れ惚れするほど格好いいものだ。
だが、その見かけに騙されてはいけない。
彼が青空がに大剣を掲げた瞬間、空が雷雲に覆われそこからいくつもの稲妻が走る。
それを合図に、両者は動いた。